異 世界 で 救世主 として 喚 ばれ まし た が。 第12話 弓手

異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました。

異 世界 で 救世主 として 喚 ばれ まし た が

聖伐隊が見えなくなってから、村人は口々に、連中とクレアへの怒りをぶちまけた。 「……な、何なんだハーミス、あの女は! ドラゴンの居場所を教えるなんて!」 「金になるなら何でもやるのか! どうする村長、あんなろくでもない奴のせいで、ドラゴンの洞窟の場所がばれてしまうぞ!」 いきなりやってきては、よりによって分かっているような体で村長からドラゴンの居場所を聞き出し、あまつさえ情報を売った女。 そんな奴を連れてきたハーミスにすら白い目が向けられている状況でも、彼と村長は冷静だった。 「ああ、確かにこのままではばれてしまう。 だが、ハーミス、どうだ?」 試すような村長の問いに、ハーミスは 『注文器』 ( ショップ )を起動して、事もなさげに答えた。 「……問題ねえよ。 クレアが時間稼ぎをしている間に、俺が一人残らず始末する」 武装した聖伐隊を、全員倒す。 そう聞いて、村人達は騒めく。 彼らの覚えている限りでは、職業の天啓もスキルもないハーミスは、生来喧嘩事すら苦手だったはず。 そんな彼が、どうやって魔物を狩れるほどの熟達者を倒すのか。 「ど、どういうことだ?」 「クレアには 『直感』 ( イントリション )ってスキルがあるんだ。 物事の有利と不利を直感で見極められるスキルがな。 それで感じたんだとさ、聖伐隊よりも俺に賭けた方が勝つって。 だからああやって、わざと聖伐隊に協力するふりをして、俺が反撃する時間を作ってくれたんだ」 そう。 全ては、三人の作戦だったのだ。 洞窟までの道と今後の行動を共有したうえで、わざとクレアが裏切った素振りをして、ここから聖伐隊を移動させ、時間を稼ぐ。 その間に、ハーミスがスキルを使って必要なものを購入し、後で追いついて敵を倒すのである。 クレアがこんな作戦に乗ったのも、彼女の直感が、どちらが有利かを察したからだ。 負ける方がひりついて見えると言っていたが、果たしてどうか。 「見ず知らずの相手には変わりねえけど、いくら金にがめついとしても、出合い頭に殺そうとした奴を信用はしねえだろうしな。 さて、こっちはこっちで準備しねえと」 「準備と言っても、ここには武器はないぞ? どうやって、聖伐隊を……」 「武器ならある。 何だってあるさ、ここにはな。 まあ、見てなって」 心配そうに村人達が見守る中、ハーミスはカタログを表示し、必要なものを探す。 「と言っても、金は貴重だし、湯水のようには使えないな……そうだ、確か、『ライセンス』ってのがあったな。 職業の恩恵が受けられるって……これだな」 彼が何を言っているのか、村人どころか、村長にも分からない。 ただ、村長には、彼が失敗するはずはないという妙な自信があった。 カタログに映し出された商品を複数タッチする度、金額欄の数字が上昇する。 今度はバイクの後部に、商品を積んだ籠を乗せている。 「のわぁっ!」「な、なんじゃあ!?」 驚く村民達を無視して、彼女はバイクを降り、籠の中の商品をハーミスに見せた。 「お待たせしました、『ラーク・ティーン四次元通販サービス』でございます。 今回はライセンス初購入となりますので、再度ご説明させていただきます」 キャリアーが最初に渡したのは、掌ほどの大きさの、金色のカードだった。 「職業のスキルやステータスを一時的に獲得できるカード状のライセンスですが、一度使うと消滅します。 有効期限は一日です。 今回は『弓手』の職業ライセンスをご購入いただきましたので、『隠密』のスキルをご利用いただけます」 「分かった、サンキューな」 「『自動生成矢筒』と『超硬質カーボン製弓』セット、『軟性魔導合金繊維服』、『四次元インベントリポーチ』をお渡しします。 では、またのご利用をお待ちしております」 何も入っていない矢筒、鈍く光る黒い弓、コートと衣服のセット、そして白いベルト付きポーチを渡した彼女は、バイクに跨り、煙と妙な音を立てて去っていった。 ポケットの中身が、二万ウル分ほど軽くなった。 「……行ってしまった……何なんだ、ありゃあ……ハーミスも……」 が軽くなったのを感じて、ハーミスは目を閉じ、開く。 ラーニングの手順だ。 「よし、使い方のラーニング完了。 ライセンスは、こうしてっと!」 ハーミスがライセンスと呼ばれたカードをぐっと握ると、ガラスのように割れて、消え去った。 そこから漏れ出した光が体を包み、内側に取り込まれていくのを感じた彼は、確認の為にステータスを開いた。 そこには、黒塗りされた項目はなかった。 代わりに、『弓手』と書かれた職業欄と、自分のものとは思えないほど向上したステータスがあった。 特に俊敏性と筋力は、適正がないと判断された自分のそれの三倍近い。 「すげえ、本当にステータスが書き換わってる。 これならバイクを使わなくてもあいつらを追えるな……あとは服と弓と、矢を準備して、よし」 改めてライセンスの凄さを実感しながら、ハーミスはその場で服を着替える。 ボロボロのシャツとズボンを脱ぎ捨て、縁を赤く染めた茶色のフード付コートと、灰色の開襟シャツ、黒いズボン、茶色のブーツを着用する。 矢筒と弓を背負い、最後にポーチを腰に巻く。 誰が見ても、狩人かその類にしか見えない。 ハーミスの雄姿を目の当たりにして、『通販』スキルに疑問を抱いていた者も、理解できていなかった者も押し黙った。 理屈はともかく、今の彼には力があると知ったのだ。 小さく笑ったハーミスは、村長と目を合わせ、静かに言った。 「それじゃあ村長、俺はさっき教えてもらった道順で、クレアを探すよ」 「うむ、できればドラゴンの娘を、洞窟から逃がしておくれ。 わしらは予定通りに……」 「分かってる、荷物を纏めて、村を出るんだろ。 俺達もすぐに合流する」 ハーミスはフードを被り、村長に背を向けた。 背を向けた時には、村人達は誰も彼もが不安な様子を隠し切れていなかったが、そんな彼らを村長が纏め上げた。 「すまんな、ハーミス……さて、皆の者! 言った通りじゃ、荷物を纏めよ! 聖伐隊に三度も目を付けられた以上、もうここは安全ではない!」 彼の一声に、村民は従った。 あの調子なら、きっと逃げ切れるだろう。 フードを一層目深に被って、ハーミスは駆け出した。 普段の速度の何倍も速く動く足に驚きながら、大きく跳躍し、ハーミスは森の中へと入って行った。 正直、クレアとは会って間もないし、放っておいても問題ない。 しかし、ハーミスの優しさが、そんな非人道的な行為を許すはずがない。 彼が許さず、鉄槌を下すとすれば、村人を殺した聖伐隊と、自分を殺した悪魔達だ。 「……待ってろよ、クレア」 何としても助けるべく、ハーミスは木の幹や枝を伝い、無音で森を突き進んだ。

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聖伐隊が見えなくなってから、村人は口々に、連中とクレアへの怒りをぶちまけた。 「……な、何なんだハーミス、あの女は! ドラゴンの居場所を教えるなんて!」 「金になるなら何でもやるのか! どうする村長、あんなろくでもない奴のせいで、ドラゴンの洞窟の場所がばれてしまうぞ!」 いきなりやってきては、よりによって分かっているような体で村長からドラゴンの居場所を聞き出し、あまつさえ情報を売った女。 そんな奴を連れてきたハーミスにすら白い目が向けられている状況でも、彼と村長は冷静だった。 「ああ、確かにこのままではばれてしまう。 だが、ハーミス、どうだ?」 試すような村長の問いに、ハーミスは 『注文器』 ( ショップ )を起動して、事もなさげに答えた。 「……問題ねえよ。 クレアが時間稼ぎをしている間に、俺が一人残らず始末する」 武装した聖伐隊を、全員倒す。 そう聞いて、村人達は騒めく。 彼らの覚えている限りでは、職業の天啓もスキルもないハーミスは、生来喧嘩事すら苦手だったはず。 そんな彼が、どうやって魔物を狩れるほどの熟達者を倒すのか。 「ど、どういうことだ?」 「クレアには 『直感』 ( イントリション )ってスキルがあるんだ。 物事の有利と不利を直感で見極められるスキルがな。 それで感じたんだとさ、聖伐隊よりも俺に賭けた方が勝つって。 だからああやって、わざと聖伐隊に協力するふりをして、俺が反撃する時間を作ってくれたんだ」 そう。 全ては、三人の作戦だったのだ。 洞窟までの道と今後の行動を共有したうえで、わざとクレアが裏切った素振りをして、ここから聖伐隊を移動させ、時間を稼ぐ。 その間に、ハーミスがスキルを使って必要なものを購入し、後で追いついて敵を倒すのである。 クレアがこんな作戦に乗ったのも、彼女の直感が、どちらが有利かを察したからだ。 負ける方がひりついて見えると言っていたが、果たしてどうか。 「見ず知らずの相手には変わりねえけど、いくら金にがめついとしても、出合い頭に殺そうとした奴を信用はしねえだろうしな。 さて、こっちはこっちで準備しねえと」 「準備と言っても、ここには武器はないぞ? どうやって、聖伐隊を……」 「武器ならある。 何だってあるさ、ここにはな。 まあ、見てなって」 心配そうに村人達が見守る中、ハーミスはカタログを表示し、必要なものを探す。 「と言っても、金は貴重だし、湯水のようには使えないな……そうだ、確か、『ライセンス』ってのがあったな。 職業の恩恵が受けられるって……これだな」 彼が何を言っているのか、村人どころか、村長にも分からない。 ただ、村長には、彼が失敗するはずはないという妙な自信があった。 カタログに映し出された商品を複数タッチする度、金額欄の数字が上昇する。 今度はバイクの後部に、商品を積んだ籠を乗せている。 「のわぁっ!」「な、なんじゃあ!?」 驚く村民達を無視して、彼女はバイクを降り、籠の中の商品をハーミスに見せた。 「お待たせしました、『ラーク・ティーン四次元通販サービス』でございます。 今回はライセンス初購入となりますので、再度ご説明させていただきます」 キャリアーが最初に渡したのは、掌ほどの大きさの、金色のカードだった。 「職業のスキルやステータスを一時的に獲得できるカード状のライセンスですが、一度使うと消滅します。 有効期限は一日です。 今回は『弓手』の職業ライセンスをご購入いただきましたので、『隠密』のスキルをご利用いただけます」 「分かった、サンキューな」 「『自動生成矢筒』と『超硬質カーボン製弓』セット、『軟性魔導合金繊維服』、『四次元インベントリポーチ』をお渡しします。 では、またのご利用をお待ちしております」 何も入っていない矢筒、鈍く光る黒い弓、コートと衣服のセット、そして白いベルト付きポーチを渡した彼女は、バイクに跨り、煙と妙な音を立てて去っていった。 ポケットの中身が、二万ウル分ほど軽くなった。 「……行ってしまった……何なんだ、ありゃあ……ハーミスも……」 が軽くなったのを感じて、ハーミスは目を閉じ、開く。 ラーニングの手順だ。 「よし、使い方のラーニング完了。 ライセンスは、こうしてっと!」 ハーミスがライセンスと呼ばれたカードをぐっと握ると、ガラスのように割れて、消え去った。 そこから漏れ出した光が体を包み、内側に取り込まれていくのを感じた彼は、確認の為にステータスを開いた。 そこには、黒塗りされた項目はなかった。 代わりに、『弓手』と書かれた職業欄と、自分のものとは思えないほど向上したステータスがあった。 特に俊敏性と筋力は、適正がないと判断された自分のそれの三倍近い。 「すげえ、本当にステータスが書き換わってる。 これならバイクを使わなくてもあいつらを追えるな……あとは服と弓と、矢を準備して、よし」 改めてライセンスの凄さを実感しながら、ハーミスはその場で服を着替える。 ボロボロのシャツとズボンを脱ぎ捨て、縁を赤く染めた茶色のフード付コートと、灰色の開襟シャツ、黒いズボン、茶色のブーツを着用する。 矢筒と弓を背負い、最後にポーチを腰に巻く。 誰が見ても、狩人かその類にしか見えない。 ハーミスの雄姿を目の当たりにして、『通販』スキルに疑問を抱いていた者も、理解できていなかった者も押し黙った。 理屈はともかく、今の彼には力があると知ったのだ。 小さく笑ったハーミスは、村長と目を合わせ、静かに言った。 「それじゃあ村長、俺はさっき教えてもらった道順で、クレアを探すよ」 「うむ、できればドラゴンの娘を、洞窟から逃がしておくれ。 わしらは予定通りに……」 「分かってる、荷物を纏めて、村を出るんだろ。 俺達もすぐに合流する」 ハーミスはフードを被り、村長に背を向けた。 背を向けた時には、村人達は誰も彼もが不安な様子を隠し切れていなかったが、そんな彼らを村長が纏め上げた。 「すまんな、ハーミス……さて、皆の者! 言った通りじゃ、荷物を纏めよ! 聖伐隊に三度も目を付けられた以上、もうここは安全ではない!」 彼の一声に、村民は従った。 あの調子なら、きっと逃げ切れるだろう。 フードを一層目深に被って、ハーミスは駆け出した。 普段の速度の何倍も速く動く足に驚きながら、大きく跳躍し、ハーミスは森の中へと入って行った。 正直、クレアとは会って間もないし、放っておいても問題ない。 しかし、ハーミスの優しさが、そんな非人道的な行為を許すはずがない。 彼が許さず、鉄槌を下すとすれば、村人を殺した聖伐隊と、自分を殺した悪魔達だ。 「……待ってろよ、クレア」 何としても助けるべく、ハーミスは木の幹や枝を伝い、無音で森を突き進んだ。

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