ある 日 突然 お姫様 に なっ て しまっ た 件 について。 『ある日、お姫様になってしまった件について 1 (フロース コミック)』のレビュー Spoon (木々さん)

ある日、突然お姫様になってしまった件について質問します。クロードが...

ある 日 突然 お姫様 に なっ て しまっ た 件 について

まどろみの中、ぼんやりと少女の姿が見えた。 キラキラと金砂のように光る柔らかそうな髪で、誰か分かった。 だが今の彼女より背丈が低い。 ちらりと見えたサファイヤのような瞳には憂いが見えた。 まるで孤独にたえているかのような。 不意に手を伸ばしても届かない。 少女はそのまま歩き出して視界から消えてしまった。 目が覚めると自室のベッドにいた。 体を起こすと窓から柔らかい朝日が差し込んでいた。 夢の中の残像がまだ残っている。 幼少期の彼女には数える程度しか会ってない。 どうしてこんな夢を見たのだろう。 ふと机の上の彼女に貸した本をみた。 もしかしたらこの本に彼女の思念が残ってたのかもしれない。 彼女は魔法が使えるから。 妙な不安を覚える。 そんな思考をしながら朝の支度をする。 朝食を彼女の部屋に持っていく。 朝の支度を終えたであろう彼女は笑顔で挨拶をした。 「おはようございます。 今日もありがとうございます。 」 「いえ、何がご不便はないですか」 「こんなに気遣って頂いてるので不便なんてありません。 とても感謝してます」 夢の中の彼女のような憂いは今の彼女からは見えない。 ほっとこころの中で安堵する。 ふと彼女の服装に違和感を覚える。 「いつもの服装より簡素なんですね」 「ええ、朝食を終えたら街に出かけようかと思いまして」 「でしたら、僕もお供しても良いですか」 「え、でもお忙しいのではないですか」 「大丈夫ですよ。 ちょうど僕も街に出かけたかったのです」 彼女はあまり気を遣われるのを好まない。 なので言い訳をしないと断られてしまうだろう。 「ありがとうございます。 では、よろしくお願いします」 「朝食を終えた頃にまた来ますね」 再び彼女の部屋を訪れると民族風の頭巾を被った茶色の瞳と髪の姿の少女がいた。 「初めて見ますよね。 街に出かける時はこの格好で行くのです」 彼女の美しい髪と瞳が隠れてしまってるのがもったないとおもった。 だが、彼女はいま不本意にも逃亡者の身なのだ。 「では行きましょう」 すっと手を前に出される。 いきなりのことについキョトンとしてしまう。 「えっと、瞬間移動で行きますので手を繋いで行きます」 「あ、そうなのですか」 瞬間移動は初めてするので勝手が分からなかった。 彼女の細い手を握るとじわりと熱が伝わる。 なんだか顔が赤くなる。 「直ぐに着きますよ」 彼女の言葉を聞いてすぐに目の前の風景が部屋から街の路地に変わる。 建物と建物の間からキラキラと光が指し、ザワザワと喧騒が聞こえる。 「本当に一瞬で来てしまいましたね」 僕がそう言うと彼女はほうと一息をつく。 そう言えば以前彼女がいつの間にか僕の部屋に来てた時動揺していたように思える。 もしかしてあの時は間違えて瞬間移動してしまってたのだろうか。 そんなことを考えたが、街に来た目的を思い出し、彼女の手を取ったまま引き寄せる。 「では、まず街を案内します。 着いてきてください」 街に出るといつものようににぎやかだ。 お店の人が声をかけてくる。 隣にお姫様がいるが魔法のおかげで誰も気が付かない。 「お姫…」 そうだった。 彼女はいま姿を隠していた。 私の考えを読み取ったようで彼女は笑顔で言った。 「私のことはアーティとお呼びください。 幼少期の愛称なのでほとんどの人は知りません」 愛称で呼ぶ。 なんだか気恥しい。 「では、アーティと。 でしたら僕のことも貴公ではなくキエルとおよびください」 一瞬驚いた彼女はすぐに笑顔でいう。 「はい、キエル。 」 彼女が僕の名前を読んだのが嬉しくてつい顔が赤くなる。 固まった僕を不思議そうにのぞく彼女。 「で、では行きましょう」 繋いだままの手からさらに熱くなってドキドキとする。 初めて出会った頃もだが、彼女といると動揺してしまう。 こんなこと普段は滅多にないのに。 そう考えながら、街の店並みを過ぎていく。 彼女は日用品を買いに来たらしい。 すぐに住んだので、次は僕の用事を済ませようということになった。 実は用事はないのでどうしようかと少し考えて、先に昼食を済ませることにした。 以前ジェニットときたカフェに入る。 席につくと彼女はキラキラとした目でメニューを見ていた。 「遠慮せずなんでも頼んでください」 「でも、色々お世話になってるので悪いです」 「気にしないでください。 僕がしたくてしてるんですから」 僕の言葉に観念した様で 「ありがとうございます」 笑顔で言う彼女。 魔法で目や髪の色を変えてるが顔立ちが整ってるので笑顔はとても可愛らしい。 少し遠慮気味に頼んだみたいだが、運ばれてきた料理を美味しそうに食べる顔を見てると自然と顔が緩む。 その日の昼食はいつもより美味しく感じた。 「寄りたい所があるのですが、良いでしょうか」 「はい、付き合って貰ったので私も着いていきます」 昼食の最中、どこに行くか考えていたので、僕達は早速目的地に向かった。 テント風の屋根の雑貨屋に入る。 そこにはリボンなど女性物のアクセサリーが主に置いてあった。 「どなたかにプレゼントですか」 「はい、仲良くしてもらってる方に」 ふと目に付いた青いガラス細工のネックレスを手に取る。 光を反射してキラキラと光る。 すっと彼女の胸元の前に当てる。 彼女の白い肌と青いガラス細工のコントラストが目に引いて綺麗だ。 「他の人に渡すのに私に合わせても良いのですか」 不思議そうにする彼女に 「ええ、大丈夫です」 微笑んで返事をする。 すぐにお店の人に頼んでプレゼント用に包んでもらう。 彼女に渡した時の顔を想像して自然と顔が綻ぶ。 お店を出ると来た時に気づかなかったが目の前に本屋が見えた。 彼女は少しそわっとして 「本屋に寄っても良いでしょうか」 「ええ、行きましょう」 本屋に入ると大きい本棚の所狭しと本が並べられていた。 きちんと手入れのされた店内は居心地がよく感じた。 彼女は本棚の前に行き、気になる本を手に取る。 しばらく真剣に見てると、彼女の茶色の髪がキラキラと金色に戻り、茶色の瞳が青い宝石のように輝く。 その本を手に佇む姿がまるで絵画のようで、一瞬見とれてしまう。 だがすぐにはっとし、彼女のそばに行く。 「アーティ、魔法が解けてますよ」 小声で言うと彼女は僕に気づきはっとし、すぐに瞳と髪が茶色になる。 「すみません。 本に集中してしまって」 彼女は僕の目を見て謝ったあと伏せ目になる。 きっと彼女は自分が逃亡者の身であるから、姿がバレると一緒にいる僕が不利益になるかもしれないと思ったのだろう。 「僕以外に誰も見えなかったので大丈夫ですよ。 僕が周りを見てますので、ゆっくり見てください」 そう言って彼女持ってる本の表紙をちらりと見ると、どうやらロマンス小説のようだ。 僕の視線に気づくと彼女はすぐに本を隠した。 「えっと、これはですね」 かなり動揺してるのか、しどろもどろ話しながら顔が真っ赤である。 彼女の私用の図書館にもロマンス小説があった。 珍しいタイトルが目につき少し読んだことがある。 本棚の棚の端にあったので、こっそり用意したのだろう。 だとすると彼女の動揺ももっともな気がした。 それを思い出して 「やはりそういう本もお好きなんですね」 とつい本音が出てしまう彼女は不機嫌そうになる。 「覗き見はよくありませんよ」 その顔が可愛らしくてつい笑ってしまう。 「笑うことないではないですか」 「すみません。 アーティが可愛らしくて。 では僕は近くで本を見てますね」 まだ怒ってるような彼女はふいと本棚に向き直り、他の本を手に取る。 初めて見た彼女の表情に気持ちが弾む。 少し心が浮ついたまま、僕も本を手に取った。 紙袋を持った彼女と一緒に本屋を出る。 空を見ると夕日がおちかけていた。 「初めに見てた本は買われなかったのですか」 「…忘れてください。 」 これ以上は言わないでくれという表情の彼女にまた笑みがこぼれる。 「すみません。 これ以上は追求しません」 そのまま店並みを歩く。 夕方なので昼間より人が減っていた。 目の前から小さい女の子がお父さん、早くきてと言いながら通り過ぎた。 前にいる父親だろう人は笑顔で子供のもとへ歩いて、そのまま僕達とすれ違う。 すると横にいた彼女の顔に影が差した。 その顔は今日見た夢に出てきた彼女のようであった。 それが気になって、声をかけようとしたが、すぐに明るい顔になった彼女はハキハキとした声で言う。 「今日はありがとうございます。 そろそろ帰りましょう」 さっきのことに触れづらく、そのまま彼女について行き、路地に入る。 「瞬間移動で戻りますね。 」 朝と同じように手を前に出される。 手を握ると彼女の手は少し冷えていた。 僕は両手で彼女の手を包むと、彼女は驚いた顔をした。 「両手じゃなくても、大丈夫ですよ」 「ええ、でも手が冷えてるようなので、温めようかと」 僕がそう言うと彼女の頬に少し赤みが指した。 その変化が嬉しくて、つい頬が緩む。 「で、では戻りますね。 」 彼女の言葉を聞くとすぐに景色が路地から元の客室に変わる。 部屋は少し薄暗く、窓から夕日がさしている。 「今日はありがとうございます。 楽しかったですわ」 スルっと頭巾をとり、髪の毛がキラキラと金色に戻り、瞳が青くキラキラと光る。 夕日越しに見る其の姿が美しく思えて、見とれてしまう。 だがすぐにはっとし 「いえいえ。 そう言えば、渡したいものがあるのです」 ポケットに閉まっていた紙袋を取り出す。 彼女は不思議そうに手渡させた紙袋を見る。 「開けてみてください」 「はい」 カサカサと紙袋をあける。 中から青いガラス細工が取り出される。 「これってあの時の」 「はい、今日買い物に付き合ってもらったのでお礼にと思って」 「私が付き合ってもらったのに、なんだか悪いです」 「では、前にあなたの図書館に入ってしまったお詫びだと思ってください」 そう言うと彼女はしぶしぶといったように頷いた。 「後ろを失礼しますね」 彼女の手からネックレスをとり、彼女の後ろからサラサラとした髪を分けてネックレスを胸元にかけて、フックをとめる。 前から見ると彼女の宝石のような瞳と同じようにキラキラと光るガラス細工はやっぱりよく似合っていた。 「宝石だとあなたは受け取ってくれないような気がして。 でもこれもとてもよくお似合いです」 笑顔で言うと彼女はネックレスに手を当てる。 「ありがとうございます。 大事にしますね」 彼女は嬉しそうに微笑んだ。 先程の憂いは彼女から見られない。 その笑顔が嬉しい。 また顔が綻ぶ。 そのまま彼女と別れ、自室へ戻る。 ドアを閉めると、ふと街から帰る前の彼女のことを思い出す。 夢のことといい、彼女の心はいまも孤独なのだろうか。 普段顔に出さないだけで、もしかしたらいま1人で泣いてるのだろうか。 きっと、僕では彼女の孤独を埋められないのだろう。 今の僕にできるのは、皇帝の記憶喪失に関して調べることだけだ。 今日の浮き足立っていた気持ちを切り替えて、僕は借りてきた魔法に関する本に目を通していった。

次の

『ある日、お姫様になってしまった件について』を読みながら、つれづれなるままに|ToLi|note

ある 日 突然 お姫様 に なっ て しまっ た 件 について

悲運のサブキャラプリンセスに転生!? ある時、彼女は自分が 人気のネット小説『かわいらしいお姫様』に登場するお姫様・アタナシアに転生してしまったことに気づきます。 しかし、 アタナシアは18歳の誕生日に父親であり冷酷な皇帝・クロードに殺されてしまうという悲運の持ち主。 なんとか 自らの死亡エンドを回避しようと、アタナシアは奮闘することを決意します。 処刑されてしまう18歳になる前に、この場所から出ていく。 月日を重ねていく中でアタナシアとクロードのふたりがどういった親子関係を築くのか、アタナシアは死亡エンドを回避できるのか。 ぜひご注目ください!• しかし、アタナシアは父親の皇帝・クロードに見捨てられた姫で、周囲にも冷たく扱われている。 小説の中では、妹で主人公姫のジェニットに毒を盛った濡れ衣を着せられ、18歳の誕生日にクロードに殺されてしまう運命のアタナシア。 どうにかして冷酷な皇帝パパから距離をおこうとするけれど、なんだかパパは私をかまいたがっているようで…? 【書誌情報はこちら】 【試し読みはこちら】• 詳細は各店舗にご確認ください。

次の

#ある日、お姫様になってしまった件について 2人でお出かけ

ある 日 突然 お姫様 に なっ て しまっ た 件 について

まどろみの中、ぼんやりと少女の姿が見えた。 キラキラと金砂のように光る柔らかそうな髪で、誰か分かった。 だが今の彼女より背丈が低い。 ちらりと見えたサファイヤのような瞳には憂いが見えた。 まるで孤独にたえているかのような。 不意に手を伸ばしても届かない。 少女はそのまま歩き出して視界から消えてしまった。 目が覚めると自室のベッドにいた。 体を起こすと窓から柔らかい朝日が差し込んでいた。 夢の中の残像がまだ残っている。 幼少期の彼女には数える程度しか会ってない。 どうしてこんな夢を見たのだろう。 ふと机の上の彼女に貸した本をみた。 もしかしたらこの本に彼女の思念が残ってたのかもしれない。 彼女は魔法が使えるから。 妙な不安を覚える。 そんな思考をしながら朝の支度をする。 朝食を彼女の部屋に持っていく。 朝の支度を終えたであろう彼女は笑顔で挨拶をした。 「おはようございます。 今日もありがとうございます。 」 「いえ、何がご不便はないですか」 「こんなに気遣って頂いてるので不便なんてありません。 とても感謝してます」 夢の中の彼女のような憂いは今の彼女からは見えない。 ほっとこころの中で安堵する。 ふと彼女の服装に違和感を覚える。 「いつもの服装より簡素なんですね」 「ええ、朝食を終えたら街に出かけようかと思いまして」 「でしたら、僕もお供しても良いですか」 「え、でもお忙しいのではないですか」 「大丈夫ですよ。 ちょうど僕も街に出かけたかったのです」 彼女はあまり気を遣われるのを好まない。 なので言い訳をしないと断られてしまうだろう。 「ありがとうございます。 では、よろしくお願いします」 「朝食を終えた頃にまた来ますね」 再び彼女の部屋を訪れると民族風の頭巾を被った茶色の瞳と髪の姿の少女がいた。 「初めて見ますよね。 街に出かける時はこの格好で行くのです」 彼女の美しい髪と瞳が隠れてしまってるのがもったないとおもった。 だが、彼女はいま不本意にも逃亡者の身なのだ。 「では行きましょう」 すっと手を前に出される。 いきなりのことについキョトンとしてしまう。 「えっと、瞬間移動で行きますので手を繋いで行きます」 「あ、そうなのですか」 瞬間移動は初めてするので勝手が分からなかった。 彼女の細い手を握るとじわりと熱が伝わる。 なんだか顔が赤くなる。 「直ぐに着きますよ」 彼女の言葉を聞いてすぐに目の前の風景が部屋から街の路地に変わる。 建物と建物の間からキラキラと光が指し、ザワザワと喧騒が聞こえる。 「本当に一瞬で来てしまいましたね」 僕がそう言うと彼女はほうと一息をつく。 そう言えば以前彼女がいつの間にか僕の部屋に来てた時動揺していたように思える。 もしかしてあの時は間違えて瞬間移動してしまってたのだろうか。 そんなことを考えたが、街に来た目的を思い出し、彼女の手を取ったまま引き寄せる。 「では、まず街を案内します。 着いてきてください」 街に出るといつものようににぎやかだ。 お店の人が声をかけてくる。 隣にお姫様がいるが魔法のおかげで誰も気が付かない。 「お姫…」 そうだった。 彼女はいま姿を隠していた。 私の考えを読み取ったようで彼女は笑顔で言った。 「私のことはアーティとお呼びください。 幼少期の愛称なのでほとんどの人は知りません」 愛称で呼ぶ。 なんだか気恥しい。 「では、アーティと。 でしたら僕のことも貴公ではなくキエルとおよびください」 一瞬驚いた彼女はすぐに笑顔でいう。 「はい、キエル。 」 彼女が僕の名前を読んだのが嬉しくてつい顔が赤くなる。 固まった僕を不思議そうにのぞく彼女。 「で、では行きましょう」 繋いだままの手からさらに熱くなってドキドキとする。 初めて出会った頃もだが、彼女といると動揺してしまう。 こんなこと普段は滅多にないのに。 そう考えながら、街の店並みを過ぎていく。 彼女は日用品を買いに来たらしい。 すぐに住んだので、次は僕の用事を済ませようということになった。 実は用事はないのでどうしようかと少し考えて、先に昼食を済ませることにした。 以前ジェニットときたカフェに入る。 席につくと彼女はキラキラとした目でメニューを見ていた。 「遠慮せずなんでも頼んでください」 「でも、色々お世話になってるので悪いです」 「気にしないでください。 僕がしたくてしてるんですから」 僕の言葉に観念した様で 「ありがとうございます」 笑顔で言う彼女。 魔法で目や髪の色を変えてるが顔立ちが整ってるので笑顔はとても可愛らしい。 少し遠慮気味に頼んだみたいだが、運ばれてきた料理を美味しそうに食べる顔を見てると自然と顔が緩む。 その日の昼食はいつもより美味しく感じた。 「寄りたい所があるのですが、良いでしょうか」 「はい、付き合って貰ったので私も着いていきます」 昼食の最中、どこに行くか考えていたので、僕達は早速目的地に向かった。 テント風の屋根の雑貨屋に入る。 そこにはリボンなど女性物のアクセサリーが主に置いてあった。 「どなたかにプレゼントですか」 「はい、仲良くしてもらってる方に」 ふと目に付いた青いガラス細工のネックレスを手に取る。 光を反射してキラキラと光る。 すっと彼女の胸元の前に当てる。 彼女の白い肌と青いガラス細工のコントラストが目に引いて綺麗だ。 「他の人に渡すのに私に合わせても良いのですか」 不思議そうにする彼女に 「ええ、大丈夫です」 微笑んで返事をする。 すぐにお店の人に頼んでプレゼント用に包んでもらう。 彼女に渡した時の顔を想像して自然と顔が綻ぶ。 お店を出ると来た時に気づかなかったが目の前に本屋が見えた。 彼女は少しそわっとして 「本屋に寄っても良いでしょうか」 「ええ、行きましょう」 本屋に入ると大きい本棚の所狭しと本が並べられていた。 きちんと手入れのされた店内は居心地がよく感じた。 彼女は本棚の前に行き、気になる本を手に取る。 しばらく真剣に見てると、彼女の茶色の髪がキラキラと金色に戻り、茶色の瞳が青い宝石のように輝く。 その本を手に佇む姿がまるで絵画のようで、一瞬見とれてしまう。 だがすぐにはっとし、彼女のそばに行く。 「アーティ、魔法が解けてますよ」 小声で言うと彼女は僕に気づきはっとし、すぐに瞳と髪が茶色になる。 「すみません。 本に集中してしまって」 彼女は僕の目を見て謝ったあと伏せ目になる。 きっと彼女は自分が逃亡者の身であるから、姿がバレると一緒にいる僕が不利益になるかもしれないと思ったのだろう。 「僕以外に誰も見えなかったので大丈夫ですよ。 僕が周りを見てますので、ゆっくり見てください」 そう言って彼女持ってる本の表紙をちらりと見ると、どうやらロマンス小説のようだ。 僕の視線に気づくと彼女はすぐに本を隠した。 「えっと、これはですね」 かなり動揺してるのか、しどろもどろ話しながら顔が真っ赤である。 彼女の私用の図書館にもロマンス小説があった。 珍しいタイトルが目につき少し読んだことがある。 本棚の棚の端にあったので、こっそり用意したのだろう。 だとすると彼女の動揺ももっともな気がした。 それを思い出して 「やはりそういう本もお好きなんですね」 とつい本音が出てしまう彼女は不機嫌そうになる。 「覗き見はよくありませんよ」 その顔が可愛らしくてつい笑ってしまう。 「笑うことないではないですか」 「すみません。 アーティが可愛らしくて。 では僕は近くで本を見てますね」 まだ怒ってるような彼女はふいと本棚に向き直り、他の本を手に取る。 初めて見た彼女の表情に気持ちが弾む。 少し心が浮ついたまま、僕も本を手に取った。 紙袋を持った彼女と一緒に本屋を出る。 空を見ると夕日がおちかけていた。 「初めに見てた本は買われなかったのですか」 「…忘れてください。 」 これ以上は言わないでくれという表情の彼女にまた笑みがこぼれる。 「すみません。 これ以上は追求しません」 そのまま店並みを歩く。 夕方なので昼間より人が減っていた。 目の前から小さい女の子がお父さん、早くきてと言いながら通り過ぎた。 前にいる父親だろう人は笑顔で子供のもとへ歩いて、そのまま僕達とすれ違う。 すると横にいた彼女の顔に影が差した。 その顔は今日見た夢に出てきた彼女のようであった。 それが気になって、声をかけようとしたが、すぐに明るい顔になった彼女はハキハキとした声で言う。 「今日はありがとうございます。 そろそろ帰りましょう」 さっきのことに触れづらく、そのまま彼女について行き、路地に入る。 「瞬間移動で戻りますね。 」 朝と同じように手を前に出される。 手を握ると彼女の手は少し冷えていた。 僕は両手で彼女の手を包むと、彼女は驚いた顔をした。 「両手じゃなくても、大丈夫ですよ」 「ええ、でも手が冷えてるようなので、温めようかと」 僕がそう言うと彼女の頬に少し赤みが指した。 その変化が嬉しくて、つい頬が緩む。 「で、では戻りますね。 」 彼女の言葉を聞くとすぐに景色が路地から元の客室に変わる。 部屋は少し薄暗く、窓から夕日がさしている。 「今日はありがとうございます。 楽しかったですわ」 スルっと頭巾をとり、髪の毛がキラキラと金色に戻り、瞳が青くキラキラと光る。 夕日越しに見る其の姿が美しく思えて、見とれてしまう。 だがすぐにはっとし 「いえいえ。 そう言えば、渡したいものがあるのです」 ポケットに閉まっていた紙袋を取り出す。 彼女は不思議そうに手渡させた紙袋を見る。 「開けてみてください」 「はい」 カサカサと紙袋をあける。 中から青いガラス細工が取り出される。 「これってあの時の」 「はい、今日買い物に付き合ってもらったのでお礼にと思って」 「私が付き合ってもらったのに、なんだか悪いです」 「では、前にあなたの図書館に入ってしまったお詫びだと思ってください」 そう言うと彼女はしぶしぶといったように頷いた。 「後ろを失礼しますね」 彼女の手からネックレスをとり、彼女の後ろからサラサラとした髪を分けてネックレスを胸元にかけて、フックをとめる。 前から見ると彼女の宝石のような瞳と同じようにキラキラと光るガラス細工はやっぱりよく似合っていた。 「宝石だとあなたは受け取ってくれないような気がして。 でもこれもとてもよくお似合いです」 笑顔で言うと彼女はネックレスに手を当てる。 「ありがとうございます。 大事にしますね」 彼女は嬉しそうに微笑んだ。 先程の憂いは彼女から見られない。 その笑顔が嬉しい。 また顔が綻ぶ。 そのまま彼女と別れ、自室へ戻る。 ドアを閉めると、ふと街から帰る前の彼女のことを思い出す。 夢のことといい、彼女の心はいまも孤独なのだろうか。 普段顔に出さないだけで、もしかしたらいま1人で泣いてるのだろうか。 きっと、僕では彼女の孤独を埋められないのだろう。 今の僕にできるのは、皇帝の記憶喪失に関して調べることだけだ。 今日の浮き足立っていた気持ちを切り替えて、僕は借りてきた魔法に関する本に目を通していった。

次の